最終更新日: 2025年10月23日
テンプレート説明
Jitsi Meetは、セキュアでスケーラブルなビデオ会議を提供するオープンソースソフトウェアです。Webブラウザから直接アクセスでき、アカウント作成不要で即座にビデオ会議を開始できます。高品質なOpus音声コーデックとVP8ビデオコーデックを採用し、デフォルトで暗号化された通信を実現しています。
本テンプレートは、Ubuntu 24.04 LTS上にJitsi Meetの完全なビデオ会議環境を自動構築します。Prosody XMPPサーバー、Jicofo会議フォーカス、Jitsi Videobridge、Nginxウェブサーバーを含む全コンポーネントが一括でインストール・設定され、インストール完了後は即座にサービスが起動し、ビデオ会議を開始できる状態となります。
メモ
Jitsi Meetは8×8社によって開発・メンテナンスされており、世界中の開発者コミュニティによってサポートされています。Apache 2.0ライセンスの下で提供されており、商用・非商用を問わず自由に利用できます。
仕様
対応OSイメージ
Ubuntu 24.04 LTS
主要ソフトウェア
| ソフトウェア名 | バージョン | ライセンス | 用途 |
|---|---|---|---|
| Jitsi Meet | latest | Apache 2.0 | ビデオ会議Webフロントエンド |
| Jitsi Videobridge | latest | Apache 2.0 | メディアストリーミングサーバー |
| Jicofo | latest | Apache 2.0 | 会議フォーカスコンポーネント |
| Prosody | latest | MIT License | XMPPサーバー(シグナリング) |
| Nginx | 1.24.0 (Ubuntu) | BSD-2-Clause | Webサーバー・リバースプロキシ |
| Let’s Encrypt / Certbot | latest | Apache 2.0 / MPL 2.0 | SSL/TLS証明書管理 |
スタートアップスクリプト情報
| 項目 | 説明 |
|---|---|
| アプリケーション利用ポート | 80/tcp (HTTP), 443/tcp (HTTPS), 10000/tcp, 10000/udp (RTP media), 3478/tcp, 3478/udp (STUN), 5349/tcp, 5349/udp (TURN) |
| インストールディレクトリ | /usr/share/jitsi-meet (フロントエンド) /etc/jitsi (設定ファイル) |
| 管理スクリプト | /root/jitsi-*.sh |
| 初期状態 | サービス起動済み |
| SSL証明書 | 自己署名証明書(初期) Let’s Encrypt証明書(設定後) |
| Let’s Encrypt証明書自動更新 | 12時間ごと、ランダム遅延付き |
その他
最小システム要件
- CPU: 2コア以上推奨
- メモリ: 最小1GB、推奨4GB以上
- ディスク容量: 10GB以上の空き容量
メモ
大規模な会議(10名以上)を頻繁に開催する場合は、メモリ8GB以上、4コア以上のVPSプランを推奨します。また、安定したネットワーク帯域が重要となります。
利用手順
メモ
スタートアップスクリプトにてアプリケーションのインストールが完了するまで数分かかります。
インストール完了後、rootディレクトリに「jitsi-info.txt」というファイルが作成されますのでご確認ください。
ファイルが存在しない場合、作成されるまでしばらくお待ちください。
Step 0: セキュリティグループについて
ConoHa VPS(Ver.3.0)ではサーバー毎にIPアドレスまたはポートでトラフィックを制御するセキュリティグループ(仮想ファイアウォール)が設定されます。
本テンプレートをご利用の場合は、予め利用するポートの通信許可設定が必要です。
詳細はセキュリティグループを参照してください。
Step 1: VPSへの接続
ConoHa VPSのコントロールパネルからVPSの情報を確認し、SSH で接続します。
鍵認証でのSSH接続コマンド例
# ssh -i 秘密鍵ファイルのパス root@VPSのグローバルIPアドレス
Step 2: インストール状況の確認
Jitsi Meetのインストールが完了していることを確認します。インストール情報は以下のファイルに記録されています。
# cat /root/jitsi-info.txt
Step 3: 初期アクセス確認
インストール完了後、Jitsi Meetサービスは自動的に起動しています。Step 2で確認したURLへブラウザでアクセスします。
https://[VPSのドメイン]
重要
初期状態では自己署名SSL証明書を使用しているため、ブラウザに「この接続ではプライバシーが保護されません」という警告が表示されます。これは正常な動作です。「詳細設定」→「サイトにアクセスする(安全ではありません)」をクリックして続行してください。Let’s Encrypt証明書を設定することで、この警告を解消できます。
Step 4: ビデオ会議の開始
Jitsi Meetの画面にアクセスしたら、会議室名を入力して会議を開始できます。
- 任意の会議室名を入力します(例: MyFirstMeeting)
- 「会議を開始」または「参加」ボタンをクリックします
- ブラウザからカメラとマイクへのアクセス許可を求められたら、「許可」をクリックします
- ビデオ会議が開始されます
メモ
他のユーザーを招待するには、ブラウザのアドレスバーに表示されているURLをコピーして共有するだけです。アカウント作成は不要で、URLを知っている誰でも会議に参加できます。
Step 5: システム診断(オプション)
システムが正常に動作しているか確認するには、診断スクリプトを実行します。
# /root/jitsi-diagnose.sh
このスクリプトは以下を確認します:
- 各サービス(Prosody、Jicofo、Jitsi Videobridge、Nginx)の稼働状態
- 必要なポートのリッスン状態
- HTTPS接続の動作確認
- 設定ファイルの存在確認
Step 6: Let’s Encrypt SSL証明書の設定(推奨)
信頼されたSSL証明書を設定することで、ブラウザの警告を解消し、より安全な接続を実現できます。
重要
Let’s Encrypt証明書を取得するには、有効なドメイン名が必要です。ドメインのDNS設定で、AレコードがVPSのIPアドレスを正しく指している必要があります。
以下のコマンドでLet’s Encrypt証明書を設定します。下記コマンドの「[email protected]」は自身のメールアドレスに置き換えてください。
# /root/jitsi-letsencrypt.sh -e [email protected]
スクリプト実行後、以下が自動的に行われます:
- Let’s Encrypt証明書の取得とインストール
- Nginx設定の更新
- 全サービスの再起動
- 証明書自動更新の動作確認
メモ
Let’s Encrypt証明書は90日間有効です。本テンプレートでは、証明書の自動更新が設定されており、12時間ごとにランダム遅延を伴って更新チェックが実行されます。
Step 7: ドメイン変更(オプション)
後からドメインを変更する場合は、以下のスクリプトを使用します。下記コマンドの「your-domain.com」は自身の独自ドメインに置き換えてください。
# /root/jitsi-change-domain.sh -d your-domain.com
パラメータ説明:
-d: 新しいドメイン名
このスクリプトは以下を自動的に実行します:
- ホスト名の変更
- 設定ファイルの更新
- SSL証明書の移動
- Nginx設定の更新
- 全サービスの再設定と再起動
注意
独自ドメインはVPSのIPアドレスに正引きされている必要があります。
重要
ドメイン変更後、新しいドメインでLet’s Encrypt証明書を取得するには、再度 /root/jitsi-letsencrypt.sh を実行する必要があります。
管理スクリプト一覧
以下の管理スクリプトが提供されています:
| スクリプト名 | 機能 | 使用例 |
|---|---|---|
| jitsi-diagnose.sh | システム診断(サービス状態・ポート・接続確認) | # /root/jitsi-diagnose.sh |
| jitsi-letsencrypt.sh | Let’s Encrypt SSL証明書の設定 | # /root/jitsi-letsencrypt.sh -e [email protected] |
| jitsi-change-domain.sh | ドメイン名の変更 | # /root/jitsi-change-domain.sh -d your-domain.com |
基本的なサービス管理コマンド
systemctlを使用したサービス管理:
# サービス状態確認
systemctl status prosody jicofo jitsi-videobridge2 nginx
# 全サービスの再起動
systemctl restart prosody jicofo jitsi-videobridge2 nginx
# 個別サービスの停止
systemctl stop jitsi-videobridge2
# 個別サービスの起動
systemctl start jitsi-videobridge2
セキュリティグループ設定
ConoHaコントロールパネルで以下のポートを開放してください:
| ポート番号 | プロトコル | 用途 | 必須/オプション |
|---|---|---|---|
| 22 | TCP | SSH | 任意 |
| 80 | TCP | HTTP(Let’s Encrypt証明書取得・HTTPSリダイレクト) | 必須 |
| 443 | TCP | HTTPS(Webアクセス・シグナリング) | 必須 |
| 10000 | TCP | RTPメディアストリーム(TCP fallback) | 推奨 |
| 10000 | UDP | RTPメディアストリーム(プライマリ) | 必須 |
| 3478 | TCP | STUN(NAT traversal – TCP fallback) | 推奨 |
| 3478 | UDP | STUN(NAT traversal – プライマリ) | 必須 |
| 5349 | TCP | TURN over TLS(リレー接続 – TCP fallback) | オプション |
| 5349 | UDP | TURN over DTLS(リレー接続 – プライマリ) | オプション |
重要
UDPポート10000と3478は、ビデオ会議の品質に直接影響します。これらのポートがブロックされている場合、TCPフォールバックが使用されますが、遅延が増加し品質が低下する可能性があります。最適なパフォーマンスのために、UDPポートを開放することを強く推奨します。
重要なファイルとディレクトリ
| パス | 説明 |
|---|---|
| /etc/jitsi/meet/[ドメイン]-config.js | Jitsi Meetフロントエンド設定ファイル |
| /etc/nginx/sites-available/jitsi.conf | Nginx設定ファイル |
| /etc/jitsi/meet/[ドメイン].crt | SSL証明書(自己署名またはLet’s Encrypt) |
| /etc/jitsi/meet/[ドメイン].key | SSL秘密鍵 |
| /etc/letsencrypt/live/[ドメイン]/ | Let’s Encrypt証明書ディレクトリ |
| /usr/share/jitsi-meet/ | Jitsi Meetフロントエンドファイル |
| /var/log/jitsi-meet-setup.log | インストールログ |
| /root/jitsi-info.txt | インストール完了後の情報サマリー |
アプリケーションの具体的な利用方法につきましては、サービス開発元やサービス提供元の公式サイト、Wikiなどで最新情報をご確認ください。
外部リンク
| サイト名 | URL | 説明 |
|---|---|---|
| Jitsi公式サイト | https://jitsi.org/ | プロダクト情報・最新ニュース |
| Jitsi公式ドキュメント | https://jitsi.github.io/handbook/ | 技術ドキュメント・セットアップガイド |
| Jitsi MeetのGitHubリポジトリ | https://github.com/jitsi/jitsi-meet | ソースコード・イシュートラッカー |
| Jitsi Community Forum | https://community.jitsi.org/ | コミュニティフォーラム・技術サポート |
| Let’s Encrypt公式サイト | https://letsencrypt.org/ | 無料SSL/TLS証明書発行機関 |